メールマガジン(9.19)

「その後の星野君」           
 「星野君の二塁打」という道徳の教材をご存じでしょうか。「星野君が送りバントのサインに背き、二塁打を打ちチームを県大会に導くも、それが原因でメンバーから外される」という話です。今年の春にこの教材が道徳の教科書から消えたという記事が朝日新聞に掲載されたのをご存じの方もいらっしゃるかと思います。
 この話では星野君を外した別府監督が権威的だと多くの批判が寄せられるのですが、先日道徳と体育がコラボした研究会で意見を求められた私は、別府監督のアンチ勝利至上主義の部分を評価しました。県大会において大きなハンディを負うのを承知で、エースで主力打者の星野君を外す決断は、目先の勝利にこだわる指導者にはできないものだからです。
 星野君の「打てる。打ってチームを勝利に導きたい!」という気持ちは純粋ですが、それを全チームメイト(特に次打者の気持ちたるやいかに?)が理解できたかは疑問です。  
「エンジョイ・ベースボール」で甲子園を席巻した慶應高校の躍進の陰で、私が学生時代に打ち込んだスポーツで輝いたアスリートが、自らその栄光を汚し、挙句の果てには仲間やチームに取り返しのつかない状況に追い込んでしまった悲しい状況に心を痛めながら、実在しない星野君のその後に思いを馳せたこの夏でした。
佐藤洋平(東京学芸大学附属竹早小学校) 

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□巻頭言
□「その後の星野君」             
 佐藤洋平(東京学芸大学附属竹早小学校) 
□令和5年度冬の研修会について
□事務局より
 ・年会費納入のお願い
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